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Dec 21 2011

最高裁で、Winnyの金子勇氏の無罪が確定した。彼には情報通信政策フォーラムでも話してもらったが、ここに至るまでの7年は長すぎた。日本のP2P技術は、もう壊滅してしまった。

本書を読めばわかるように、Winnyはクラウド・コンピューティングの先駆だった。転送するファイルを途中のノードに蓄積して負荷を分散する技術は、その後の海外のP2Pクライアントにも使われ、SkypeはP2Pによって低価格の電話を実現した。

池田信夫 blog : Winny事件で日本が失ったもの - ライブドアブログ

うーん…。これはあまりに間違いだらけでツッコムのに大変だ。

P2P技術は別に日本だけで「壊滅」したんじゃなくて、違法ファイル交換以外では世界中で絶賛「壊滅」中だよ。別に京都府警が「壊滅」させたんじゃなくて、放っといても「壊滅」するものだったんだよ。結局、P2Pは時代の徒花だったんだよ、BitTorrentやJoostも含めて。

その「壊滅」の原因は大容量回線が世界的にうまく行き渡ったことと、CDN業者が競争してCDNの使用料が低価格になったことにあって、それらの環境変化によってP2Pという低品質な通信手段を必要としなくなったんだよ。Skypeだってノードサーバーを世界中に配備し、P2Pにあまり依存しない体制を積極的に採用したから飛躍的に通信品質がよくなった。P2Pは過渡的なプアマンズコネクティビティとしての役割でしか生きられない運命だったんだ。もちろん、貧乏人の違法ファイルの交換を除いても、アフリカなどの通信回線が細い地域での利用や、wikileaksのような国家に縛られない組織が情報のセキュリティ手段として利用することなどに、P2Pは生き残るかもしれないけれど。

あと、P2P技術と現在のクラウドコンピューティングはほとんど関係しない。たしかに現在のクラウドコンピューティングや大規模計算環境でもP2Pはつかわれているのだが、それはアプリを分散デプロイするときだけだ。また、Winnyがあってもなくても、分散デプロイはBitTorrentなどの他のP2Pでやられているから、Winnyはまったくもって「先駆」なんかじゃない。この記事にあるように、クラウドコンピューティングをネット上の単なる分散処理に解釈してP2PやWinnyをそこに含めて煽るやり方はあまり感心しないね。

(via kashino)