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Dec 28 2011

ポストPCに要件が一つあるとするとそれはPCよりも売れること。PCよりも数が売れれば性能的にもPCを凌駕することになりますから。ただ、PCより売れるためには、PCよりも大きな市場がなければいけません。PCは先進国の消費者という市場で売れましたが、その市場よりも大きい市場は唯一、発展途上国の消費者だけです。

ポストPCは発展途上国の方々の要件に合致し、購入可能な価格帯でないといけません。日本にいると自分は中流などと言い合っていますが、年収300万円もあったら世界の金持ち10%にはいれます。年収600万円もあったら世界の金持ち1%に入れます。世界では年収100万円以下の人の方が圧倒的に多いのです。例えばバングラディシュの場合、人口は1億4千万人、一人あたりのGDPが684ドル(外務省の資料)、平均年収はバングラディシュ政府が正式統計を出していないそうですが、労働者比率が一番高い縫製従事者の年収が20000タカ(1ドル=28タカ)だそうで、5万5千円くらい。為替レートがあるので5~6万円くらいと思ってください。つまり安物PC一台が1年分収入に相当し、当たり前ですがPCの購入は不可能です。仮に変えたとしても十分の一である5千円前後のコンピュータでないと無理でしょう。こうした貧国がアフリカをはじめ世界にいっぱいあるのです。

それからポストPCに求められる機能も先進国の常識は捨てるべきです。バングラディシュの場合、文盲率は44%。世界レベルで見ると、ネパールは48%(人口3千万人)、エチオピアは65%(人口8千万)など、識字ができない人は多いのです。そうした方に文字情報が主体のメールやWebに需要があるとは限りません。文章が書けなければキーボードも意味があるとはいえなくなってきます。そうなってくるとポストPCは、文字以外の情報、つまり音声ユーザインターフェースの比率がPCよりもあがるはずです。そうなるとディスプレーは文字よりも絵を移すことになるかもしれませんし、仮に文字情報の読み上げをしてくれるのであればディスプレーそのものもいらないかもしれません。いずれにしても、いまのPCに囚われずに、ポストPCを考えたいものです。

佐藤一郎: Web日記 (2011年)